2007年09月21日

狭い会場での公演

明日、本番です。

今回もそうなんですが、私は狭い会場での芝居が好きです。
昔は大きな会場を押さえるお金がなかったり、人手が無いので、などの理由で狭い、普段劇場にしてないようなスペースで芝居やってましたが、最近はあえて「狭い会場」で公演をしたいのです。

今回の公演、新しい分野の人を舞台に上げたこともあり、こういう狭い会場での演劇公演というのを初めて体験する人が何人もいました。アンケートでその反応を見ると
「役者が近くてびっくりした」
「役者の息づかいがわかる」
「臨場感がある」
など、「初体験」と呼ぶにふさわしいインパクトを与えられたと思います。

「役者の息づかい」は三百人くらいの会場でも、ちゃんとした演劇向きの劇場ですと伝わってきます。この芝居を昔上演した東京の「三百人劇場」(その名のとおり300席)などそうでした。そういう風に創ってるんですね、本来「劇場」というのは。しかし、そんな劇場でも、劇場全体に伝えようとすると、それなりの技量が要ります。素人にはできません。だから役者は基礎訓練をするのです。

稽古場で公演をする時など、狭いですから特に「役者の息づかい」がわかります。多少技量が足りなくても、というのはありがたいことなのですが。でも、技量が足りなくても、うまく演技できてないと伝わらない、というか、それって「伝わるものが無い」わけですから、伝わらないです。
逆言えば、「伝えるものがあれば、伝わる」空間です。だから「技量」が多少足りなくてもこの「伝えるもの」「気持ち」を役者には重視してもらってます。
特に私が創る芝居は「間」が重要になってきます。勢いで押しまくれない芝居です。引かないといけないのです。その「引いた時」に、「ぽっ」できる「間」を楽しみたい、と思ったらその「間」という目に見えない「空気」を感じてもらわなければいけないのです。
この「空気」を感じられる「空間」には限界がある。

あ、そうそう。役者の技量もそうですが、観客の息づかいも狭い会場だとわかります。
そして、役者の息づかいと観客の息づかいがシンクロした濃密な空間で行われる舞台、というのが成立する瞬間があるのです。瞬間というかもっと長い時間であったりします。
それを体験してしまうと、また芝居を続けていきたくなるんですね。

そんな体験をしてみたい方。
明日、来ます?
明日絶対そんな空間が出来る、とは保証できませんが。こればっかりは時の運もあります。

でも、私はそれが成立する時間を創ろうとして、舞台を創り続けています。


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Posted by 伽藍座長 at 23:20│Comments(0)演劇
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