2009年05月18日

字面以上のもの

何か珍しくリアクションがいくつかあったので、もう少し話してみよう。

ある日、稽古場で、ある役者が、何だったか英語の曲を覚えたい、といって携帯だかで歌詞を手に入れた。
しかし、英語なので意味がよくわからん。単語の意味を一つ一つ調べ始める。
しばらくして、「あ~こんな意味だったんだね」と。
さて、歌詞を覚えようとしたら、本人曰く「あ、もう覚えてる」。

そんなことってありますよね。
意味がわかると、せりふが入るって、こういうこと。

で、もう一つ。
私も昔、英語やフランス語の曲を覚えたくて、カセットテープに録音したのをノートにカタカナ書きしたりしたのを覚えてます。みんなそんな思い出あるんじゃないでしょうか。
でも、カタカナ書きなので、綴りわからず、辞書で調べることも出来ず。
でもその時の歌はいまだに何となく歌えたりします。

こういう「意味もわからんのに覚えてしまう」ってこともある。
でも、この場合、「歌」だから。
歌は字面じゃないから。
声であり、気持ちがあるから。
それに「耳で覚えてるから」。
カタカナで書いても英語やフランス語なんかをうまく表記できないから、「これは参考までに」ってことになって結局耳で覚えましたね。

英語の芝居を、字幕無しで観たりする。
それでも何となくわかる。
正確に細かいところは間違って認識してるかもしれないけど。
舞台上で起こっている事件を詳しくはわからない。
でも、舞台上の登場人物の気持ちはわかったり。

高校生と大ホールで芝居やったとき、言ったことは
「声を届かせよう、と思わなくていい。気持ちを届かせようと思えば、伝わるから」
そんな根性論みたいな話に聞こえるが、
(実際「声を~」と思うと力はいってかえって身体に共鳴しにくくなることが多いから、「気持ちを~」という方に意識を持っていったほうが、肩の力が抜けて身体に共鳴しやすくなり、結果声も聞こえやすくなる、といったような理屈もあるんですが)
その時の舞台で大事だったのは、「言葉の細かい意味」じゃなくって「気持ちの揺れ動き」だったから。
英語でも伝わるんだから、日本語で多少聞き取れなくても伝わるだろう、っていう楽観的な考えでね。

さて
英語の苦手な私は、日本語を話さない人とは、お互いの知っている片言の日本語と英語でコミュニケーションをとります。というかとらざるをえない。それでも何となくわかりあえる。(ホントは微妙に誤解しあってるのかもしれないけど)
もし電話でこれやろうと思ったら無理です。
テレビ電話なら少しは何とかなるかも。
でも、対面でやるのが一番確実なはず(私が英語勉強するのが、本当はもっと確実なんですが、それは今は置いといて)
それは
「空気を共有する」ことで得られる理解
とでもいうんでしょうか。
それがうまくいったら、演劇もうまくいくんじゃないか。
なんて思っているのであります。


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Posted by 伽藍座長 at 17:19│Comments(2)日記
この記事へのコメント
 気持ち! そう気持ちが大切ですよね!

 でもその気持ちを引き出すのがなかなか難しかったりする…かな?
Posted by なべ at 2009年05月18日 19:52
 「気持ち」は、状況によって醸成されるものだと感じることが多いです。従って、その役がどんな状況に置かれているのかをしっかりイメージすれば、気持ちは自然と育成されると思います。そう考えると、演技というのは、頭の中に描かれた絵の再現だと思っている今日このごろです。
Posted by おおば at 2009年05月21日 19:25
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    コメント(2)