2009年05月24日

気持ち

稽古で
「気持ちを引き出す」
必要があるときによくやるのは
「動きをつける」
です。

この「動き」も間違えると
「身振り手振りのジェスチャーゲーム」みたいになってしまいますね。

私がよく使うのは
・視線の方向を指示する
・立ち位置を指示する
の二点。

これも間違えると、「気持ちを引き出す」事に関しては逆効果になる。

<視線の方向を指示する>
最もよく使うのは、
「相手役を見る」
見ると気持ちがわいてくる。
普段の生活で、人の目をじっと見て話をするときなんてあんまりないから、特に「相手役と視線を合わせる」ということをするだけで妙な気持ちがわいてくる。それに「せりふ」という言葉が加わると、その「妙な気持ち」が「せりふ」で言っている内容とリンクしたりする。そういう可能性が高い気がするので、よく使う。
これと同じような感じで
「相手役から目をそらす」「カバンをず~っと見てる」「誰もいないところを見る」
なども。

<立ち位置を指示する>
現場で一番よく使う指示は
「客にケツを向けろ」
です。
「客にケツを向けるな」では決してありません。
何でか?っていうと、「客にケツを向けないように」と動くのは「役の気持ちに従って動く」妨げになるからです。よく現場で目にするのは、「気持ちでは、こう動いていきたいんだけど、客席から見えなくなるから、そうは動けない」と思いながら動く(動けない)役者です(本人に自覚があったりなかったり)。
だから、まず楽に役の気持ちで動いてもらうために「客にケツを向けろ」みたいなことを言います。
次に
「相手役との距離をこのくらい取って」
相手役との関係で、近くにいるほうが良いか?遠くにいるほうが良いか?があります。あるいは「近くにいたくないけど、近くにいる」「傍にいたいのに、いられない」なんてところからドラマは始まります。
だから、気持ちを作りたいときは、相手役との適度な距離をとってもらうようにします。
ここまで書くとわかると思いますが、ここで言ってる「立ち位置」というのは
「気持ちを作りやすい立ち位置」
ということです。


以上の二点は現場でも使われることが多い指示であると思いますが、多くは
「見栄え」
を考えての指示だったりします。
これを
「気持ちを引き出す」
という視点で使うと、目からうろこが落ちてきます。

そして、お気づきだと思いますが、どちらも
「相手役」
との関係が重要です。
「気持ちをつくる」といって、自分の中でえっちらおっちら気持ちをしぼりだそうとするんでなく、
「相手役を意識する」ことで、「それをキッカケにして気持ちを引き出す」
という方法がやりやすい、と私は思ってます。

一人芝居やってても、必ず架空の「相手役」を作ります。その方がやりやすいから。
それよりも「モノローグ」の方がやりにくいです。相手役もいないのに、気持ちを自己完結させなくちゃならないモノローグ。
だからか、私の書く脚本にモノローグが少ないのは。と、今気付いた。

もちろん、役者が「役の置かれた状況をイメージしたり」、「役の過去を考えたり」といったことも役の気持ちを作っていく上で重要です。
だから今日、上に書いた二点は、演出としての私がよく使ってる「現場で気持ちを引き出しやすくする方法」として読んでいただけたらいい、と思います。


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Posted by 伽藍座長 at 00:34│Comments(2)日記
この記事へのコメント
 ここのところ、コメントさせてもらっています。
 とても参考になっています。
 座長さんが、稽古場で培ったものを、いろいろ教えて下さい。
Posted by おおば at 2009年05月24日 21:37
ありがとうございます。
一般的に演劇がどうであるか、という話になると不勉強がばれますので
「私はこう思う」
ということで、これからも書いていきますので、参考になるとこだけ持ってってください。
Posted by 伽藍座長伽藍座長 at 2009年05月26日 23:53
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    コメント(2)